Kichi's Journal吉のワイン⽇記
2026/09/17
晩夏にぴったりの5皿とギリシャワイン

ワインを造り、世界中のワインについて学び、そしてワインをこよなく愛するキツネの吉だよ。
世界中のすばらしいワインをみんなに知って欲しいと思っているんだ!
このブログでは、ブドウやワインのこと、生産国や歴史について、僕が知っているちょっとした豆知識を紹介していくね。
エキスパート
料理研究家・スヌ子さんとギリシャワインのコラボによる、4日間の限定ペアリングイベントを開催! 晩夏にぴったりの5皿とギリシャワインが織りなす、驚きと発見に満ちた極上のマリアージュをお届けします。
スヌ子さん(本名:稲葉ゆきえさん)が主宰するKIWIギャラリーキッチンとのコラボレーションによる、最新のフード&ワインペアリングイベント第二弾を開催いたしました。
今回のテーマは、晩夏にぴったりの5皿とギリシャワイン。
その中でご提案したペアリングを、ご紹介いたします。
すいかとレモンコンディマン、フェタチーズの前菜 X キドニツァ 2023

キドニツァは、ラコニア地方原産のギリシャ固有の白ブドウ品種で、ギリシャ国内でさえ非常に稀少な品種です。 キドニツァの味わいは、冷涼な気候のヴィオニエやシュナン・ブランと、トロピカルなシャルドネの中間あたりに位置します。香りの面では、より控えめなアレキサンドリア・マスカットに近く、さらには、華やかすぎたりベタついた甘さがあったりすることなく、魅力的でエレガント、どこか心を捉えて離さないような控えめなゲヴェルツトラミネールにも近いと言えます。
鼻腔をくすぐるのは、柔らかい花々や夜に咲くジャスミン、オレンジの花、熟した和梨、ハニーデューメロン、そして若桃の爽やかな酸味とバランスです。
口に含むとキドニツァはオイル感があり、豊潤で、その名の由来となったマルメロ(ギリシャ語で「Kidoni」は「マルメロ(西洋カリンという果実)」を意味します)の特有のノートや、レモンのコンフィ、アールグレイティーに欠かせないベルガモットの皮のシトラスプロフィールが広がります。実際、キドニツァのオイル感は、まさに柑橘類の精油(エッセンシャルオイル)を思い起こさせます。
キドニツァはスイカ、レモン、フェタチーズのあらゆる要素とマッチします。スイカに合うのは「メロンの果実味」、フェタチーズに合う「塩気」、そしてレモンの皮に合うだけでなくそれを引き立て変貌させるような、「シトラスと心地よい苦み」。
楽しい実験として、レモンの皮をほんの一切れ口にし、キドニツァをひとくち含んで何が起こるか、確かめてみてください。キドニツァはまさに「メロンに乗せたレモン」だと思いませんか?
胡瓜のガスパチョ X 10³ マラグジア 2023

もしあなたが90年代や2000年代初頭のワインバーに入り、マラグジアをグラスで注文していたとしたら、おそらく冷たい視線を返されていたことでしょう。というのも、当時マラグジアは絶滅したと広く信じられていたからです。そして、ギリシャの醸造家であり大学教授のヴァンゲリス・ジェロヴァシリウ博士という一人の男性の情熱的な努力がなければ、私たちは今日この特別なブドウを楽しむことができなかったでしょう。マラグジアを復活させるというヴァンゲリスのプロジェクトは1970年代に始まり、ギリシャ政府の協力のもと、本土や諸島全体への植樹と醸造が推進されました。今日、マラグジアブドウはギリシャで最もエレガントで繊細な白ワインを生み出しています。
マラグジアは一部の人々が「ギリシャ版アルバリーニョ」と呼びます。アルバリーニョ同様にミネラル感(塩気)がある一方で、マラグジアはより芳醇でモモのような香りを持ちます。地中海的なソーヴィニヨン・ブランを思わせつつも、独特です。このマラグジアは、標高1,000メートルのアイギアルニア(Aigialeia)の急斜面で育ったブドウから作られているため、「10³」と名付けられています。このような地形での栽培や収穫は難しいのですが、地球温暖化の影響を抑えるための方法として、最近ギリシャでは一般的な手法となってきています。標高が高ければ高いほど、ブドウは涼しく保たれ、フレッシュでアルコール度数の低いワインとなります。
胡瓜のガスパチョに対して、マラグジアはヨーグルトの塩気やキュウリ、ディルの青々しさと同調します。マラグジア自体が、地中海ハーブを思わせる微かなグリーンのノーツを持っています。実際、ギリシャではマラグジアはサラダ料理や、よりクリーミーなキュウリのディップと一緒に提供されるのが一般的です。
なすとひき肉のムサカ風重ね蒸し X スキフォス クシノマヴロ 2021

西マケドニア(ギリシャ北部)の山岳地帯であるナウサは、サフランや桃で有名なだけでなく、世界最高のクシノマヴロを生み出すことでも知られています。実際、シャンパーニュと聞いて素晴らしいスパークリングワインを思い浮かべるのと同じように、クシノマヴロと聞けばナウサなのです。
クシノマヴロはギリシャ語で「酸っぱい・黒」という意味であり、その名の通り酸度が高く、口に含むと甘酸っぱいチェリーやサワーロープキャンディのノートに変換されます。この鼻腔を刺激する酸度こそ、高酸度が防腐剤のように機能することで、クシノマヴロを時とともに美しく熟成させる助けとなっています。
クシノマヴロはサワーチェリーだけではありません。ドライトマト、ブラックオリーブ、乾燥無花果、そしてオレガノやタイムなどのドライハーブのニュアンスに出会うでしょう。
クシノマヴロはまた、ポルチーニ茸のようなうま味のプロフィールを持っており、キノコや醤油ベースの料理に理想的です。ご自宅で試せる非常に興味深い裏技として、醤油にキノマヴロのワインを少々加えると、和食とのペアリングがさらに調和したものになりますよ。
もしかするとギリシャで最も重要な料理である「ムサカ」とペアリングしました。ムサカはギリシャ人にとってのソウルフードです。クシノマヴロの高い酸味がトマトの酸味と調和し、ひき肉やシュレッドチーズの脂っぽさを切ってくれます。ワインの持つアーシーで旨味のあるプロフィールもまたスパイスの味付けとマッチし、ワインのブラックティーのニュアンスがナスの青々しさを反映して、最も自然なペアリングを作り出します。
たらことアーモンドのカザレッチェ・さんまとじゃがいもの赤ワイン煮 X アシルティコ 2022

アシルティコ(Assyrtiko)は原産がサントリーニ島の、最も有名なギリシャの白ブドウです。サントリーニ島のアシルティコは通常、地面のごく近くで栽培され、ブドウの樹は「コウロラ」と呼ばれるきれいなバスケット状の巣のように巻くように仕立てられます。これは、島を打ちつける強い風にブドウの樹が耐えるための唯一の方法です。また、アシルティコは過酷な熱や日差しに非常に強いため、サントリーニ島で非常に上手く育ちまました。
本日アシルティコはサントリーニ島のものではありません。この品種の「より親しみやすい」スタイル。レモンやライム以外の果実味が少しあり、刺すような酸味が強すぎないスタイルです。香りは、特有の濡れた石のノートだけでなく、花々や白い花、ストーンフルーツ、そしてワイナリー特有のベルガモットのニュアンスがあります。口に含むと、酸味はシャープでありながらも、サントリーニのアシルティコに期待するようなレーザーのように尖ったものではありません。また、砕いた牡蠣の殻のようなノート、レモン、ライム、グレープフルーツ、グリーンアーモンド、青リンゴ、そして塩気。 このアシルティコは、本日の白ワインの中で唯一オーク樽熟成されており、それが口中でのボディと重みを与え、この品種をそのままにしておくと現れる角のある部分を滑らかに磨き上げています。
ペアリングについて。一つには、中濃ソースと味噌を使ったサンマ、そしてタラコが塩気をもたらし、ご想像の通りアシルティコはそれを寛容に受け止めています。 酸味もガーリックの風味と完璧に調和し、ワインのグリーンアーモンドのようなナッツ感は、カサレッチェのナッツドレッシングとシンクロします。
この特別なフード&ワインペアリングイベントでGrapeFoxとコラボレーションしてくださった、スヌ子さんとKIWIギャラリーキッチンチームのみなさまに心より感謝申し上げます。
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