美味しいワインを造るには原料であるブドウ選びが重要!ワインに合ったブドウを使って適切な方法で造る、素晴らしい香りのする天国のようなワイン。この記事では、何百種類もあるブドウの中から、僕がおすすめするブドウで造られた白ワインを紹介していくよ。
Kichi's Journal吉のワイン⽇記
2022/08/28
オールド・ヴァイン・カリニャン:叡智に溢れたその味わい
ワインを造り、世界中のワインについて学び、そしてワインをこよなく愛するキツネの吉だよ。
世界中のすばらしいワインをみんなに知って欲しいと思っているんだ!
このブログでは、ブドウやワインのこと、生産国や歴史について、僕が知っているちょっとした豆知識を紹介していくね。
エキスパート
平凡なブドウ品種と言われる「カリニャン」。ワイン造りに欠かせないのに、大量に栽培され、何にでも合わせられるが故にメインとして使われることが少ない存在。この記事では、ワイン造りを支えるカリニャンの魅力について紹介するよ。
平凡な品種!?カリニャン
ある人が「最も素晴らしいものは平凡の中にある」と言うのを僕は聞いたことがあるよ!
カリニャンはその典型じゃないかな。
僕がこの品種が大好きな理由も、まさに平凡さの中で際立つ存在だからなんだ!
すべてのキツネを代表して言わせてもらうなら、この品種の持つさわやかで素朴な味わいがワイン界にもたらす恩恵には、いくら感謝してもしきれないと思うな!
カリニャンは、主にフランスで大量に栽培されていたんだ。フランスで広まった理由は、収量が多くて、ポンポンのような実をたくさんつけるからなんだ。
現在では世界のあちこちで見かけるようになったよ!たとえば、チリや、モロッコ、チュニジアあたりでも栽培されているよ。
醸造家にとってカリニャンはいつでも欠かすことができないブドウで、他の品種(たとえばグルナッシュ)とのブレンドにぴったりの、まるで枕木のような存在なんだよ。
カリニャンをメインに使っているワイナリーがないわけではないんだけど、まだまだ少ないのが現状ってところかな。
カリニャンの「平凡さ」に秘められた可能性!?
残念だけど、何にでも合わせられるっていうカリニャンの特性が、逆に唯一の欠点になってしまっている。
そう、カリニャンって、「平凡」なんだ。
言い換えると、カリニャンは常に脇役で、ヒーローにはめったになれない。
カーテンの後ろで脇役として演技させられて、永遠にスポットライトを浴びることができない、まるで幽霊のようなブドウだったんだ。
でも、もう大丈夫!
カリニャンは、先祖が辛抱強く大地から集めてきた、数えきれない物語を実の中に秘めているんだよ。
そしてその物語とともに、新しい使命をもってワイン界にカムバックしてきたんだ!
そう、このブドウの可能性は、最も古いブドウの木に隠されているんだ。
ザクロジュース、カシス、ブラックベリー、チェリー、リコリス(甘草)、トーストした小麦粉とスミレなどの深い味わいが、カリニャンの秘密なんだよ。
カリニャンのもう一つの素晴らしさは、強い酸味にあるんだ。
この酸味のおかげで、脂肪分の多いどんな食べ物にも合う素晴らしいワインになる。
肉汁たっぷりの子羊のすね肉に合わせたら、もう最高!
カリニャンが、まるで黒曜石のナイフのように脂肪を切り裂くのが感じられると思うよ!
カリニャンとドライ・ファーミング(乾式農法)
カリニャン愛好家なら知っておきたいもうひとつの秘密は、ドライ・ファーミング(乾式農法)だよ。
これはその名の通り、水やりを最小限に抑えた農作方法なんだ。
水やりをしないなんて大丈夫かな、って心配になるよね?
でもカリニャンを美味しくするためには、水を最小限に控えることが大切なんだよ。
ブドウの木は喉が渇くと、水を求めて地中に深く根を張るようになる。
同時に水分が少ないことで、より味とうまみが実に凝縮されるってわけだ!
実際に、乾式農法で栽培されたカリニャンの古木は、通常のカリニャンよりも収穫量は少ないけれど、味わいに関しては全く別ものなんだよ。
冒頭で紹介した人は、「大量生産品は大衆向け」とも教えてくれた。
たしかにその通りだ。
でもね、カリニャンは決して生産量が多いというだけのブドウじゃない。
時代の浮き沈みを乗り越え、知恵を出し惜しみするよりみんなで分かち合った方が良いことを知っている老人のような深みがあるんだ。
そしてカリニャンは、きっとあなたがその魅力を見出してくれるのを辛抱強く待っているんだと思うな。
じゃあ、またね!
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