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Kichi's Journal吉のワイン⽇記

2023/04/26

ギリシャワインの魅力

吉 Kichi

ワインを造り、世界中のワインについて学び、そしてワインをこよなく愛するキツネの吉だよ。
世界中のすばらしいワインをみんなに知って欲しいと思っているんだ!
このブログでは、ブドウやワインのこと、生産国や歴史について、僕が知っているちょっとした豆知識を紹介していくね。

ワインの醸造家
エキスパート
最古のワイン生産国の一つ、ギリシャのワインとワインの歴史について説明するよ!GrapeFoxのユニークなギリシャワインの旅に参加して、ギリシャの特別なワインと歴史的なワイン造りの伝統に酔いしれてみよう!

 

「神は富める者を妬まず

 卑しい身分の者を蔑むこともない。

 生きとし生けるすべてのものに対して

 一片の悲嘆を感じさせることなく

 無垢なワインを分け与える。

 歓喜を拒む者にのみ、その怒りは燃え上がるだろう」

     エウリピデス作「バッカイ」(アテネ劇)より

 

古代文化に深く根付いたギリシャワイン

ギリシャは現在、ワイン生産国としては発展途上の国だと思われている。

でも実は、ワインを造ったり飲んだりすることは、ずっと昔からギリシャの文化や芸術の中に深く根付いているんだ。

現代のワインの世界は、ギリシャ人と彼らのブドウ栽培の技術のおかげで発展したと言ってもいいんじゃないかな。

例えば、ギリシャ人が地中海沿岸を植民地化したおかげで、この地域でブドウ栽培が広まり、ワインを飲むことが広まったんだよ。

古代ギリシャでは、ブドウを栽培していない文明を野蛮人とみなしていたくらい、ブドウは彼らの価値観の根幹だったんだ。

 

 

古代ギリシャの都市国家であり、西洋文明の最高峰と考えられていたアテネでは、ワインは祭典や宴会を盛り上げ、神々への献杯を促し、葬儀の悲しみを癒し、シンポジウムで議論を深めるために使われていた。

シンポジウム(「一緒に飲む」という意味)とは、野外での演説会や、市民が参加して様々な社会問題を何日もかけて議論する公開討論会のこと。

当時、ワインはとても象徴的なもので、適度に飲めば、心を軽くしてくれたり、意気消沈したときの解毒剤になったり、日常生活の苦しみを癒す薬になったりすると思われていたんだよ。

 

古代ギリシャ人のワインの飲み方

 

古代ギリシャの人たちが、現代の僕たちとは全然違うワインの飲み方をしていた、って言ったらびっくりするかな?

信じられないかもしれないんだけど、当時のギリシャでは、ワインを塩水や蜂蜜で薄め、香りの良いハーブやスパイスを加えて飲んでいたんだって。

こうすることで、日常的に飲まれるワインのアルコール度数はたった4度になるんだ。

そしてワインは「飲み物」というよりも、「食べ物」とみなされることもあったんだよ。

その理由は、ギリシャでは何も加えていない「純粋なワイン」を飲むことは、ものすごく酔っぱらってしまう野蛮な行為だと信じられていたから。

いやはや、時代は変わるものだね!

 

ワインはまた、物語や文学、そして言語全体を作り上げる上でとっても重要な役割を果たしたんだ。

ギリシャ語の「オイノス:oinos」(「ワイン」の意味)と「ロゴス:logos」(「原理」の意味)に由来する「エノロジー:oenology」(「ワインとワイン製造の研究」と定義される)という言葉にも見て取れるよね。

 

ワインと芸術

当時の多くの芸術家も、好んでワインを題材にしていたんだよ。

中でもギリシャの伝説的な詩人であり、『オデュッセイア』と『イリアス』の著者であるホメロスは、ワインが大好きだったんだって。

ホメロスは叙事詩の中で、紺碧のエーゲ海を「ワインダーク」あるいは「ワインフェイス」と呼んでいたんだ。

なぜ海の色をそんな風に表現したのかはいまだに謎だけど、エーゲ海の深い色合いは濃い赤ワインにも匹敵するからではないか、またはギリシャ原産のブドウ「マブロダフニ」の不透明な色に似ているからではないか、と推測する人もいるよ。

 

さらにホメロスは、ワインを飲むことが魂や気分に良い効果をもたらす、という自説を熱心に提唱していたんだ。

 

「魅惑的なワインが私を駆り立てる

 かしこまった人々も歌を歌い出し、

 穏やかに笑い合い、

 踊り出し、

 思わぬことを口にするのだ」

(オデッセイより)

 

ギリシャの神々とワイン

ワインの重要性は人間の領域にとどまらず、神々の領域にまで及んでいるんだよ。

ディオニュソスは、ワインとブドウの神として国中に崇拝されていた。

若くハンサムなディオニュソスは、当初は神とは思われていなかったんだ。(ゼウスの太ももから生まれたにもかかわらず!)

というのも、彼はオリンポスのパンテオンに属していなかったから。(これについては、また別の機会に詳しく説明するね。)

ディオニュソスはある日突然、「東の国」から黄金の髪を持つ美しい乙女の一団を従えて現れた。

魔法の杖であるチュロスを手にしたディオニュソスは、側近を影のように従えて各地を巡り、ワインを飲む者には祝福を与えたんだ。

逆に人生の美を大切にしない者、つまり不幸になろうと必死になっている者には罰を与えたんだよ。

神話とはいえ、この物語はギリシャ文化とワインとの関係をよく反映している。

そして、人生とは何か?についても考えさせられるよね。

人生は、ワインがくれる贈り物を最大限に活かすための素晴らしい機会に他ならないってことを。

 

ギリシャワインの発展

 

内外の戦争や紛争、そして歴史の流れの変化によって、ギリシャワインは何百年もの間、忘れ去られた存在だったんだ。

この状態は残念ながら、1970年代にルネッサンス期を迎えるまで続いたんだよ。

でもその後、ギリシャワインは信じられないほどの発展を遂げたんだ。

大小さまざまな生産者が、クシノマヴロ、アギオルギティコ、ロディティス、アシルティコなど、ギリシャ産のブドウ品種に秘められた素晴らしい可能性を再発見しているんだよ。

そして僕の大好きなマラグシアも!

GrapeFoxで扱うワインからもわかるように、ギリシャのブドウをフランスのブドウと比べることは意味がないと思う。

ギリシャのワイナリーでも、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローといったフランスの高貴な品種を栽培しているけれど、その一方で地元のブドウにますます磨きをかけ、素晴らしい結果を出しているんだ。

ギリシャワインにとって、今はとてもエキサイティングな時期と言えるんじゃないかな。

 

GrapeFox ギリシャワインの旅

さて、親愛なる読者のみなさん。

このワインのしもべであるキツネめが、みなさんをギリシャワインの旅にお連れしましょう。

 

まずは、ペロポネソス半島のエギアリア地域の斜面で作られる、カナカリス10³マラグシア(Kanakaris 10³ Malagousia)を紹介するね。

カナカリスは1979年に設立され、現在はミハリスとステファノスのカナカリス兄弟によって運営されているんだ。

このワイナリーの3代目にあたる兄弟の目的は、テロワールのユニークな特徴を表現した、特別なギリシャワインを造ること。

実際、この斜面は地理的表示保護地域(PGI)とされていて、畑はなんと海抜1000mに位置しているんだよ。

この高地ワインは、ギリシャ固有のブドウであるマラゴウシア(僕が大好きなギリシャのブドウのひとつ!)だけで造られているんだ。

口いっぱいに広がるアロマと、コリント湾から吹く穏やかな潮風のキスのようなさわやかなミネラル感が特徴だよ。

 

 

カナカリスワイナリー/カナカリス 10³ マラグジア 2022

購入する

 

次は、ギリシャのマケドニア地方、メリッサ・コザニにあるベリディス・ワイナリーを取り上げてみよう。

 

 

 

ここは標高575mにある家族経営のマイクロワイナリーで、これまで僕が試した中で最も素晴らしい白ワインであるBelidis Chardonnay-Malagouzia(ベリディス・シャルドネ・マラグジア)を生産しているんだ。

このワインは、ギリシャとフランスのブドウのブレンドに対するベリディス特有の見解を表しているよ。

丘に咲く花々、スパイス、桃の香りと活気に満ちたエレガントな味わいが特徴で、すぐにグラスを空けちゃうことになるのは間違いないね。

 

 

 

 

あなたもGrapeFoxのユニークなギリシャワインの旅に参加して、ギリシャの特別なワインと歴史的なワイン造りの伝統に酔いしれてみない?

さぁ、グラスを持って!

"Yamas"(ギリシャ語で乾杯)!