1970年代から1990年代にかけて行われたブドウのDNA検査で、非常に興味深いことがわかったんだ。

読者のみなさんは、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カルメネール、あるいはバスク地方の珍しいホンダリビ・ベルツァといったブドウ品種を知っているかな？

このブドウたちには、ブレンドすると素晴らしいワインになるということ以外にも、共通点があるんだ。

とても面白いことに、科学者はこれらのブドウがすべて共通の祖先を持っていることを発見したんだよ。

このブドウたちの父親は、他でもないカベルネ・フランだったんだ。

DNAプロファイリング検査は、このブドウたちにある種の「つながり」や「共通項」があるのではないかと考えていたワイン愛好家にとって、必要だったってことだね。

「緑の遺伝子」の正体

そしてこの共通の特徴は、今では「緑の遺伝子」と呼ばれているんだよ。

どうしてかというと、このブドウたちはどれも（特にカルメネール！）、特殊なハーブや草の香りを持っているからなんだ。

滑らかで親しみやすい味わいで知られているメルローも、適切に熟成させないと、牧草地のような香りを漂わせることがある。

実はこの緑の遺伝子は、穏やかな家長であるカベルネ・フランを筆頭に、この高貴なブドウ一族が持つ高レベルのピラジンのことを指しているんだよ。

キツネとブドウとの密接な関係

カベルネ・フランの実は早く熟すし、世界の寒冷地でも非常によく育つ。

なんと、雪が降っても平気なんだ！

また、カベルネ・フランは、さまざまな名前で呼ばれているよ。

昔は「カルメネ」「ブーシェ」と呼ばれていたこともある。

カベルネ・フランの原産地とされるバスク地方（スペイン北部）では、このブドウを親しみを込めて「アケリア」と呼んでいるよ。

バスク人が使うミステリアスな言語のエウスケラ語で、アケリアは「キツネ」を意味するんだ。

(このことは、さまざまな文化圏でキツネとブドウの間に強い結びつきがあることを証明しているのさ！すごいと思わない？）

「父親」と「息子」、それぞれの特徴

カベルネ・フランは、その子孫であるカベルネ・ソーヴィニヨン（しっかりとしたタンニンと重厚な風味で知られるブドウ）とは対照的に、飲みやすく滑らかなタンニンと低い酸味を持つ、非常に軽い赤ワインを造り出すよ。

カベルネ・フランは、時の流れによって気質が丸くなった賢くもの静かな父親、カベルネ・ソーヴィニヨンは、高級スーツとネクタイに身を包んだ野心的で筋肉質な若者のようなものだと想像してみて。

「息子」はブラックカラント、スパイス、タバコ、パプリカの風味を持ち、「父親」は繊細なスペアミント、砕いた岩、ラズベリー、そしてローストして甘みを増したパプリカの味わいを持っている。

でも、カベルネ・フランの気質がより控えめだからといって、カベルネ・フランを低く評価するのは間違いだよ。

カベルネ・フランは、シュヴァル・ブランのような伝説的なワインを造るブドウというだけではない。

ワインメーカーがその潜在能力を最大限に引き出す方法を理解しさえすれば、驚くほどエレガントなワインを生み出すんだ。

Attilio & Mochiのカベルネ・フラン2020

今回ご紹介するチリの生産者Attilio & Mochiの『カベルネ・フラン 2020』は、冷涼気候で育てられたとっても珍しい少量生産のカベルネ・フランなんだ。

このブドウの木が太平洋から吹く冷たい風によく耐えているなぁ、とびっくりする。

でも、この品種が持つピラジンのような風味を滑らかにするのは、この同じ海なんだ。

このカベルネ・フランは、繊細なスペアミント、ストロベリー、ローストしたパプリカ、柔らかなユーカリ、爽やかなメントールのノートを持つ、シルキーでエレガントな味わいが特徴だよ。

それは、かつてないほど現代的なワインと言えるんじゃないかな。

偉大なる父は今もその栄光と誇りをもって、キツネ騎士団を統率しているんだよ。

彼らの栄光が1000年続きますように！と願いながら。