美味しいワインを造るには原料であるブドウ選びが重要!ワインに合ったブドウを使って適切な方法で造る、素晴らしい香りのする天国のようなワイン。この記事では、何百種類もあるブドウの中から、僕がおすすめするブドウで造られた白ワインを紹介していくよ。
Kichi's Journal吉のワイン⽇記
2023/09/20
ヴェルディッキオと西ゴート族
ワインを造り、世界中のワインについて学び、そしてワインをこよなく愛するキツネの吉だよ。
世界中のすばらしいワインをみんなに知って欲しいと思っているんだ!
このブログでは、ブドウやワインのこと、生産国や歴史について、僕が知っているちょっとした豆知識を紹介していくね。
エキスパート
時は西暦410年。
絶え間ない政治的混乱、戦場での敗北、国庫の枯渇により、かつてその強大を誇ったローマ帝国は瀕死の状態にあった。
偉大なアウグストゥスや賢明なマルクス・アウレリウスが、野心的なビジョンによってローマを西側世界の文化的・軍事的覇者とした時代はとうに過ぎ去ってしまっていた。
今、王位に就いているのは、西暦393年にわずか10歳で即位した若き皇帝ホノリウスである。
ホノリウスは鳥、中でもニワトリをこよなく愛し、政治よりもずっと関心を寄せていた。
それは、彼が新しい首都をローマではなくミラノとしたことでますます明らかになったのだった。
ホノリウスに皇帝としての知識が不足していたためか、あるいは目の前にいるニワトリに集中し過ぎていたためか、舵を取るリーダーが不在となり、ローマの結束は東方との国境と同様にもろくなってしまった。
不運なことに、ローマと敵対する国々もまた、詩人ホラーチェの語る「カルペ・ディエム(その日をつかめ)」というモットーに従っていたのだ。
そしてゲルマン民族(ローマ人は 『野蛮な異教徒』と呼んでいた)は、ローマの防衛線を破壊し始め、イタリア半島に危険なまでに接近してきた。
西暦410年8月24日、ついにアラリック1世率いるゲルマン民族(西ゴート族)がローマの城壁を破ったのだった。
その後、西ゴート族は略奪の限りを尽くし、以後これは『ローマ略奪』と呼ばれることになる。
ニワトリを愛した皇帝
ありがたいことに、西ゴート族はローマの歴史に敬意を払っていたため、この侵略は比較的 『人道的』なものだった。
しかし、北東部の都市ラヴェンナの要塞に隠れていた皇帝ホノリウスは、ローマ陥落の知らせを聞き状況を完全に誤解してしまった。
ある歴史家によれば、ホノリウスは偶然にもお気に入りのニワトリに『ローマ』という名前をつけていたため、ローマ陥落の知らせを聞いたとき、それが自分の飼っていた羽の生えたペットのことだと思いこみ、恐怖のあまり大声を上げたという。
「なんということだ!ついさっき、『ローマ』に餌をやったばかりだというのに!」
ローマ陥落
西ゴート王アラリック1世は、ローマを征服できたのは、勇敢な兵士たちのおかげというよりも、むしろ......ワインのおかげだと考えていた。
もちろん、ヴェルディッキオのことである。
アラリック1世は、ヴェルディッキオほど兵士たちを活気づけ、勇気づける飲み物は他にないと語ったとされる。
アラリック1世は、ローマ人に容赦なく征服の見返りとしてありとあらゆるものを差し出すよう命じた。
このためローマは、所有するすべての金、銀、大理石、穀物、高級な布地で報酬を差し出すことになった。
それは、不振にあえぐローマ経済を完全に破綻させるものだった。
絶望的なローマ側は、何とか妥協できないかと、アラリックの陣営に使節を送った。
ローマの使節はアラリックに、自分たちが要求されたものをすべて支払えば他には何も取らないでいてくれるかと尋ねたところ、アラリックはこう答えた。
「まだお前たちの命が残っている。」
ローマ人にとって、実に悲惨な状況だった。
しかしアラリックは、兵士たちの多くが1週間も酒に溺れ、酔って死んでしまうものさえ出たため、ヴェルディッキオのワインがほとんど、いや、まったく残っていないことを知っていたのだった…。
ヴェルディッキオ『小さな緑色』
ということで、ここからは歴史的にも有名なヴェルディッキオをご紹介するね。
イタリア語で 『小さな緑色のもの』を意味するこの名前は、ヴェルディッキオから造られるワインのとっても特徴的な色にちなんでいるんだ。
それは、緑がかった色合いと強烈な麦わら色の黄色、つまりイタリアのカンパーニャの美しさと同じ色なのさ。
ヴェルディッキオは、イタリアで最も素晴らしい白ワインのいくつかを生産することで知られ、10年という驚くべき熟成能力を持っているんだ。
熟成させると、ヴェルディッキオはおいしそうなアーモンドの香りを醸し出すんだよ。
ヴェルディッキオのDOC
ヴェルディッキオといえば、イタリア北東部のレ・マルケ地方を連想する人もいるかもしれないね。
レ・マルケ州の中で、ヴェルディッキオの最も有名なDOC(原産地統制呼称)は、ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・ジェーシだよ。
そのサブ地域の中でも中心的なヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・ジェーシ・クラシコは、このワインの最高品質のバージョンを生産することで知られているんだ。
一応説明しておくと、ワインがDOCに分類されるということは、ブドウの種類、栽培地域、醸造手順、さらには収穫量といった項目が厳格に管理され、確立された生産ガイドラインに従っていることを意味するんだよ。
例えば、ワインにヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・ジェーシ・クラシコDOCのラベルを貼るためには、少なくとも85%以上のヴェルディッキオのブドウを使用しなければならないんだ。
マルケ州におけるこのブドウのもう一つの非常に注目すべき(だけどあまり知られていない)DOCは、ヴェルディッキオ・ディ・マテリカだよ。
ヴェルディッキオ・ディ・マテリカは、ヴェルディッキオのよりパワフルなバージョンと言えるかもしれない。
ヴェルディッキオは一般的に酸味が強いのが特徴で、スプマンテ(スパークリングワイン)にも使われるんだ。
口に含むと、柑橘系の果実や桃の風味が感じられ、暑い夏の日にぴったりのエレガントなワインだよ。
ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イェジ・クラシコ・スペリオーレ
今回GrapeFoxでは、特別なヴェルディッキオ、ファットリア・ラ・ヴィアッラのヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イェジ・クラシコ・スペリオーレをみなさんにご紹介するね。
このワインの原料となるブドウは、ヴェルディッキオ・クラシコDOCの丘陵地帯、アンコーナ近郊の砂岩と粘土質の土壌で栽培されているんだ。
オーガニックとビオベジタリアンの認証を受けたワインだよ。
グラスに注ぐと、ヴェルディッキオの特徴である緑がかった麦わら色に目を惹かれるはず。
香りには、桃、パイナップルなどの黄色い果実を持つフルーツに、カモミールのニュアンスが感じられるよ。
そして口に含むと、複雑な味わいだけどとっても調和がとれていて、フレッシュさとクリーンさの美しいハーモニーが広がるんだ。
ファットリア・ラ・ヴィアッラのヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・ジェーシ・クラシコ・スーペリオーレは、アドリア海を思い出すような料理、つまりアサリやあらゆる種類の貝類を使ったリングイネにぴったりだ。
リゾットやアスパラガス料理、ペストパスタ、グリルした野菜、ソフトチーズ、そして...そう、グリルした鶏肉にもよく合うよ。
さぁ、カンパイ!
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