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Kichi's Journal吉のワイン⽇記

2024/05/08

ヒーローと相棒

吉 Kichi

ワインを造り、世界中のワインについて学び、そしてワインをこよなく愛するキツネの吉だよ。
世界中のすばらしいワインをみんなに知って欲しいと思っているんだ!
このブログでは、ブドウやワインのこと、生産国や歴史について、僕が知っているちょっとした豆知識を紹介していくね。

ワインの醸造家
エキスパート
ワイン界のヒーロー、高貴なボルドー産のブドウ『カベルネ・ソーヴィニヨン』について説明するよ!
Contents

僕たちの世界には、ヒーローがあふれている。

たとえば「ヒーローもの」の映画はとってもよく売れていて、業界の稼ぎ頭になっているよね。

当然だけど、映画業界が突然、地球を揺るがすような何かに出会って作品を作り始めたわけじゃない。ヒーローは有史以来、僕たちとともにあったんだ。

ハリウッドのクリエイターとプロデューサーたちは、再生可能でコピーペーストできるテンプレートを利用して、消費者の琴線に触れようとしているってわけ。

ヒーロー、あるいはその超強力な21世紀版である「スーパーヒーロー」は、一切れのパンだとかホッとする場所と同じように、人間の幸福に必要な要素なんだろうね。

ヒーローは、自分よりも大きななにかを信じたいっていう人間の欲求を満たしてくれる。

僕たちの心の奥底にある自己に宿るこの強い想いには、理想や価値観が凝縮されているのさ。

残念ながら、その理想や価値観を実現することは不可能に近いけどね。

それでも、ヒーローへのあこがれは揺るぎなく、汚れがない。

まるでカットしたてのダイヤモンドのように、絶対的で完璧なものなんだ。

 

ワイン界のヒーロー

ワイン界のヒーローといえば、高貴なボルドー産のブドウ、カベルネ・ソーヴィニヨンがあげられるよ。

なんてったってヒーローの特徴である、強さ、生命力、美貌をすべて満たしているからね。

そう、カベルネ・ソーヴィニヨンは押しも押されもせぬヒーロー品種だ。

僕の言葉を鵜呑みにするのではなく、このブドウが生み出すワインをぜひ観察してみて。

カベルネ・ソーヴィニヨンは決して恥ずかしがりなワインではないよ。それどころか、きっぱりとした意図とこれぞ正義という味でグラスを満たし、自然に際立ってしまう。カベルネ・ソーヴィニヨンは、今日、世界で最も多く栽培されている品種なんだ。

『バンザイ!僕らのブドウヒーロー、カベルネ・ソーヴィニヨンは、チリから中国に至るまで、ほとんどすべてのワイン生産地を救い、お姫様にキスをした!』ってわけ。

そしてカベルネ・ソーヴィニヨンは、誇り高く筋肉隆々のヒーローのように、「みんなを喜ばせる存在」として、僕たちの記憶に刻み込まれたんだ。

 

でも、ヒーローにも否定的な側面、古代ギリシャで言うところの「悲劇的欠陥」がある。

ひとつは、ヒーローには横暴で常識はずれなところがあって、時にちょっと残酷で不公平だって解釈されること。

まぁ、ドラゴンを倒したり、サイクロプスと格闘したりするためには、ある程度残忍な力が必要なのは仕方ないよね。

ただワインとなると、こうした性質が少し気性が荒く、「行き過ぎ」に見えてしまうんだ。

カベルネ・ソーヴィニヨンのワインは、その不思議な果実味と湿地帯を浸すほどのタンニンで、舌を圧倒することがある。

問題は、カベルネ・ソーヴィニヨンが飲み手を混乱させてしまうことなんだ。

でも幸いなことに、僕たちのヒーローであるカベルネ・ソーヴィニヨンには、世界の味覚を征服するという旅を共にする仲間がいるんだよ。

カベルネ・ソーヴィニヨンの傍らには、地味なロバに乗って、忠実で疑うことを知らない相棒が静かに付き添っている。

そう、メルローだ。

 

 

相棒のメルロー

 文学や大衆文化においては、相棒は歴史的にそれほど重要ではないキャラクターとして扱われてきてるよね。

どうしたって観客は、主人公に共感しやすいから仕方ないことかもしれない。

相棒の登場は昔から使われている方法で、物語にちょっとしたスパイスを加えてくれるだけだと思われがちだ。

でも相棒は、実は物語の中で驚くほど重要な役割を果たしているのさ。

強靭な肉体はなくても感情的な強さを持つ相棒は、主人公のキザなヒーロー的行動に対抗して描かれていたり、あるいは相殺する役割を果たしている。

ジョークを言ったり、時にはおどけた演技をすることで、相棒はストーリー内のアクションシーンで高まった緊張の「逃がし弁」として使われることもある。

相棒の言葉や行動に笑うことで、僕たちは、ヒーローである主人公のまじめすぎる面や冷たいとも思える決意を、ほんのわずかな間だけでも忘れることができるんだ。

実際、相棒のおかげで、僕たちはヒーローを嫌いになるどころか、さらに好きになると思わない?

これは相棒のおかげで、ヒーローが一段高いところから降りて、観客である僕たち人間と同じ土俵で戦うことになるからだよ。

相棒がもともと持っている癒しの力で短い余談をしてくれた後、僕たち観客はすっかりリフレッシュしていることに気づく。

そして、主人公の苦境に新たな気分で集中する準備ができるんだ。

 

 

ヒーローに付き添う相棒の役割

 

メルローは、相棒のブドウとして、主役のカベルネ・ソーヴィニヨンを引き立ててくれる。

世界中のボルドースタイル・ブレンドのワインメーカーたちは、そう確信してきたんだ。

プラムのような風味、花、デリケートなチョコレートの風味に満ちた、なめらかでみずみずしいブドウであるメルローは、カベルネ・ソーヴィニヨンの大胆なダークフルーツの風味とシャープなタンニンに対抗する果実味、まろやかさ、ベルベットのような感触を提供してくれるよ。

つまり、メルローはワインによりソフトで調和の取れたアプローチを与えるんだ。

いわばメルローは、優れたユーモアのセンスでドン・キホーテを高尚な理想の世界から引き離すサンチョ・パンサのようなものさ。

あるいはメルローは、バットモービルではなくタクシーに乗ることを選んだにもかかわらず、溶けた鋼鉄の桶からバットマンを救うために間一髪で現れたロビンといえるかもしれない。

メルローは、世間から疎まれているにもかかわらず、知性とソフトパワーを駆使してフロドを背負い、輝かしい成功へと導いたサムワイズ・ギャムジーともいえる。

このように、ワインの世界では、ブドウのヒーローと相棒であるカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローは、同じ樽の表裏一体であることが多いんだ。

 

じゃあここで、トリビアをひとつ。

メルローの語源はフランス語で「黒い小鳥」を意味する「merles」なんだよ。

ちなみに、ロビンも鳥を意味するんだけど、これって単なる偶然なのかな...?

 

GrapeFoxが自信をもっておすすめするメルローブレンド

 

ファットリア・ラ・ヴィアラのスーパータスカン

カサル・ドゥーロ 2018

 

濃いルビーレッド色にガーネットがかかったこのワインは、ファットリア・ラ・ヴィアラの2018年の「グラン・クリュ」であり、スーパータスカン本来の意味を独自に解釈して造られた逸品です。

24ヶ月間新旧の小樽で熟成し、柔らかくシルキーな味わいが特徴で、複雑でスパイシー、ミネラル感のある風味が広がります。ブラックベリー、ブルーベリー、サワーチェリーと交互に現れる野生の果実や植物のアロマは、繊細で力強いニュアンスが感じられます。森林の下草や地中海の潅木、甘いスパイス、杉の木、タバコ、コショウ、アニスシードの風味もあり、最後に爽やかなメントールの香りで締めくくられます。口に含むと驚くほど滑らかな上に温かくシルキーで、濃密なタンニンによるしっかりした骨格を感じられるワインです。

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イタリアワインにおける最高格付けDOCGのキャンティー

カーサ・コンフォルト キャンティ 2020

 

甘いスパイス、スミレ、小さな赤い果実の香りがあり、森林の地面とバルサミコの風味がフィナーレを飾るワイン。 口に含むと、心地よい辛口でやや渋み(タンニン)が感じられます。時間が経つにつれてボトルの中でまろやかになり、シルクのような驚くべき滑らかさが持続します。大樽で5ヶ月間熟成させた、深みのあるルビーレッドとガーネットが印象的なワインです。

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