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Kichi's Journal吉のワイン⽇記

2023/12/24

GrapeFox’s Great Greek Adventure III 【 マケドニア中央部ークシノマヴロの地 】

吉 Kichi

ワインを造り、世界中のワインについて学び、そしてワインをこよなく愛するキツネの吉だよ。
世界中のすばらしいワインをみんなに知って欲しいと思っているんだ!
このブログでは、ブドウやワインのこと、生産国や歴史について、僕が知っているちょっとした豆知識を紹介していくね。

ワインの醸造家
エキスパート
歴史と情熱にあふれる素晴らしい人々、そしてもちろんおいしいワインに満ちた新しいギリシャの冒険の旅に出発しよう!

世界史上で最も偉大な征服者アレクサンダー大王生誕の地、マケドニアと クシノマヴロ

アテネの美しい建築物とすばらしい人々に感動したあと、僕は北へ飛び、マケドニア王フィリップ2世の神話の地、そして世界史上で最も偉大な征服者であるアレクサンダー大王が生まれた地へ向かうことになった。

でも現在世界を征服しているのは、難攻不落のギリシャのファランクスではなくて、その土着のおいしいブドウといえるんじゃないかな(ありがたいことに!)。

マケドニア、つまりナウサの町といえば、その代表的なブドウ、クシノマヴロを思い浮かべないわけにはいかない。

 

まずはギリシャ第2の都市テッサロニキへ

僕は飛びすぎて疲れたしっぽを休めたかったので、アテネからギリシャ第2の都市テッサロニキまでプロペラ飛行機に乗ることにした。

 

キツネがどうやって飛行機に乗ったのかって?

飛行士のゴーグルを着けて、屋根の上に座ったのさ。

エーゲ海の上空を、蜜を食べ過ぎたマルハナバチのようにブンブンと飛ぶ地味な プロペラ飛行機で通り過ぎるのは、まるでインディ・ジョーンズになったような気分だったよ。

アテネからテッサロニキまでの飛行時間はわずか45分。

ずっとエーゲ海の紺碧の海を眺めていたら、実際にはさらに短く感じたな。

ラッキーなことに、キツネの僕は、手荷物受取所での面倒な手続きは免れたしね。

 

 

エーゲ海の塩辛い空気に触れたせいか、不意に僕のおなかがグーっと鳴った。

マケドニアのいくつかの町の上空を飛んでみて、最終的にテルミというビーチタウンで昼食をとることに決めた。

ビーチサイドのタベルナでギリシャ料理を食べたよ。

 

誰にもキツネだってことがわからないように、ギリシャの地元の人に変身したんだ。

でも、そこらへんをうろちょろしているギリシャの猫たちはすぐに僕を見つけて、ニャーニャーと鳴き始めた。

幸いなことに、人間には猫たちがなんて言っているかはわからないから、ばれなかったけどね。

 

 

とにかく、昼食はとてもおいしかったよ。

新鮮なレモン汁で味付けされたギリシャのオルタ(季節の野生のタンポポ菜)、タラマ(卵のペースト。写真に写っているフムスのような料理で、本当に死ぬほどおいしいんだ!)、トマトとフェタチーズを添えたナスのロースト、そして最後に、最高に繊細なオリーブオイルを使ったパプリカのロースト。

テルマイコス湾は、世界でも数少ない、空と海が同じように青い天国のような場所のひとつだってことは間違いない!

 

ギリシャの土着品種  クシノマヴロ

 

おなかもいっぱいになったし、さあ、クシノマヴロを見つけに行こうと、僕はしっぽのねじを巻いて西のナウッサに向かった。


クシノマヴロはピノ・ノワールに最も近い品種なんだ。

ピノ・ノワールと驚くほど似ているワインができることもあり、地元では「ギリシャのピノ・ノワール」と呼ばれているんだよ。

個人的には、クシノマヴロには独自の個性と魅力があるんだから、フランスのブドウと比較するのは少し不公平だと思うけどね。

タンニンのレベルについては、クシノマヴロもピノ・ノワールも舌にやさしく、全体的に引っ掛かりが少ない果汁を生み出す。

「プディングは食べてみなくてはわからない」っていう古いことわざがあるけど、僕は「ワインは飲んでみなくてはわからない」と言いたいな。

ピノ・ノワールがマッシュルーム、ラズベリー、下草、森林の床といった呪術的な風味を特徴とするのとは対照的に、クシノマヴロ、特にナウサのシノマヴロは、テロワールを自然に表現しているため、日に干したトマト、イチジク、ギリシャ産オリーブの香りが感じられるんだ。

酸味のレベルの違いを別として、クシノマヴロを世界中のブドウに例えるなら、それは古木のカリニャンじゃないかと思う。

 

ナウサのテロワールを表現するコッキノスワイナリー

 

僕が最初に訪れたワイナリーは、ナウサの町から少し外れたところにあるコッキノス(Kokkinos)だった。

犬がいることは知っていたから、こっそりとこのブドウ畑を訪れたよ。

到着してみたら、オーナーでありワイナリーの創設者でもあるスタブロス・コッキノス氏が、電気柵の専門家にブドウ畑を案内していたのには驚いたな。

このワイナリーが 「イノシシ問題」に悩まされていることは、ブドウの木々の噂話で耳にしていたんだけどね。

さらに後から、この地域の他のワイナリーでも同じような問題を抱えていることを知ることになったんだよ。

だけどコッキノス氏は、まさかその日にキツネ問題にも悩まされることになるとは思ってもみなかっただろうね。

おなかを空かせた豚たちが食べた量ほどではなかったものの、僕はせっせとおいしいクシノマヴロをブドウの木からいただいちゃったのさ。

 

 

コッキノス氏はもともとは鶏肉屋の息子だったんだけど、父親とは反対に、鳥の鳴き声ではなく、花開くブドウの木に情熱を見出したんだ。

興味深いことに、現在コッキノス・ワインで使われている雄鶏のロゴは、お父さんであるコッキノス・シニア氏の事業努力へのオマージュなんだって!

 

コッキノス・ワイナリーはスタブロス・コッキノスによって設立された。

ブドウ畑は現在、彼と3人の息子たちによって管理されている。

最初のボトリングは2009年。

コッキノス氏の夢は、ナウサのテロワールの独自性を真に反映したシノマヴロを造ることである。

 

 

ナウサの町、ダラマリにある魅惑的なコッキノス・ワイナリーのクシノマヴロとメルローのブドウ畑の素晴らしい眺め。

この地域はクシノマヴロの中心地だよ。

背後の山々から吹き下ろす風が、ブドウの樹を冷やし、葉っぱを乾燥させる気流を生み出すんだ。

 

コッキノス・ワイナリーにある、古いけれどまだ十分使えるブドウ圧搾機。

ワイナリーのレセプションに飾られていたこの絵から、ここの人たちがキツネに好意的だってことがわかったよ。

でも僕は誰も見ていない隙に、おいしいクシノマヴロを数口いただいちゃったけどね。

 

たいていどのワイナリーも犬を飼っているけれど、コッキノスも同じだった!

ワインの樽を背景にすると、子犬も堂々として見えるよね。

 

すばらしいギリシャのワインメーカー  アポストロス・ティミオポロス氏

ナウサへのワイン旅行といえば、トリロフォと、ヴェルミオ山のふもとにあるアポストロス・ティミオポロスのブドウ畑を訪れないわけにはいかない。

このブドウ畑に到着して最初に僕の目を引いたのは、クシノマヴロのブドウ畑の端で草を食む美しい黒馬だった。

その堂々とした馬はアポストロス氏自身のもので、名前はもちろんアレキサンダー大王にちなんでアレックスというんだって。

後で知ったことだけどね!

 

でも、アポストロス氏の向上心は、彼の魅力的なペットの馬だけでなく、その仕事ぶりに明らかに表れているんだよ。

アポストロス・ティミオポロスは、今日、多くの批評家から世界最高のギリシャ人ワインメーカーとみなされている、と言っても言い過ぎではないはず。

そんなアポストロス氏が、もっぱらシノマヴロ種のワイン造りに専念していることを知ったら、みなさんもきっと僕と同じように驚くんじゃないかな。

実際、彼はサステイナブルかつオーガニックで、最小限の手しか加えないというワイン造りの理念を貫きながら、この高貴なギリシャのブドウから10種類ものワインをたったひとりで造り出しているんだ。

アポストロス氏は、シノマヴロのポテンシャルを信じている。

そして僕はワインを試飲してみて、その日の美しい青空と同様に、シノマヴロもまたアポストロス・チミオポロスを信じていることがよくわかったんだ。

写真を載せておくから、この場所の雰囲気を感じてみてね。

 

摘みたてのシノマヴロは木箱に詰めて運び、すぐに検査する。

新鮮なシノマヴロのブドウ!なんておいしいんだろう!

 

ワインの熟成に使われる巨大なステンレスタンク。

 

このハンサムな秋田犬は、うとうとしていたからワインを飲んでいる僕に気づかなかった。

ラッキー!

 

 

ギリシャのアンフォラで熟成されたオレンジワイン。

 

 

ギリシャの旅を終えて

サフランの産地、コザニのベリディスワイナリーでの一枚だよ。

クリストスとミロスのベリディス兄弟(オーナー兼ワインメーカー)は、9月中旬ということもあり、収穫に追われていた。

そこで僕は、彼らが忙しすぎて気づかない隙を狙って、ブドウを試食することにしたんだ!

ドローンカメラで撮られてしまった、僕の写真。

見てお分かりの通り、僕はギリシャに来てから数キロ体重が落ちたんだ。

地中海ダイエットのおかげかな。