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Kichi's Journal吉のワイン⽇記

2023/10/14

サンジョヴェーゼ:イタリアの魂

吉 Kichi

ワインを造り、世界中のワインについて学び、そしてワインをこよなく愛するキツネの吉だよ。
世界中のすばらしいワインをみんなに知って欲しいと思っているんだ!
このブログでは、ブドウやワインのこと、生産国や歴史について、僕が知っているちょっとした豆知識を紹介していくね。

ワインの醸造家
エキスパート
イタリアを代表する品種のひとつであるサンジョヴェーゼ。"Sanguis Jovis"(木星の血)に名前を由来するというそのブドウについて解説するよ!

 

今回紹介するサンジョヴェーゼ(Sangiovese)はイタリアのぶどうで、その名前は "Sanguis Jovis"(木星の血)に由来してるんだ。

ジュピター、ジョヴィス、ジョーヴェはすべて同じ人物、すなわちローマ神話に登場するゼウスを指している。

ゼウスはオリンポスの神々の中の神として、強大な力を持っていたんだ。

古代ギリシャの影響を強く受けたローマ人は、オリンポスの神々にまつわることをすべて取りこんで、独自の命名法を作り上げた。

だからジュピターはゼウスに、マルスはギリシャ神話の軍神アレスに、バッカスはディオニュソスの酒神に相当するんだよ。

でも、ローマ社会へのギリシャの影響は、宗教だけにとどまるものではなかったんだ。

古代ギリシャ人は、エトルリアやローマの建築、芸術、哲学、軍事戦術、そしてもちろんブドウ栽培にも大きな影響を与えた。

僕たちが愛し、大切にしているイタリアを代表するブドウの多くは、実はギリシャ起源だって知ってた?

例えば、アリアニコは当初ローマ人によって 『ヘレニコ』 と呼ばれていたんだよ(ヘレニコはギリシャの古代名ヘラスからきているんだ)。

 

イタリアを代表するサンジョヴェーゼ

 

サンジョヴェーゼの名前は、ローマ人にギリシャがどれほど大きな影響を与えていたかを示すものであるにもかかわらず、それは語源的にという意味でしかない。

つまり、サンジョヴェーゼというブドウそのものがまさにイタリア的だってこと。

実際、サンジョヴェーゼは間違いなくイタリアで最も重要なブドウであり、イタリア中部の太陽の光が降り注ぐトスカーナのシンボルでもあるんだ。

この素晴らしい黒ブドウからは、長靴の形をした半島を象徴する有名なワインがいくつも造られている。

キャンティ・クラッシコ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ、カルミニャーノなどが、その代表として知られているよ。

各タイプのワインにどれだけのサンジョヴェーゼが含まれるかは、それぞれのスタイルで使用されるサンジョヴェーゼの比率によって決まっていて、ものすごく厳格なDOCとDOCGのルールに従わなくちゃいけないんだ。

例えば、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノDOCGでは、サンジョヴェーゼ100%で造られることが規定されている。

ところが、ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチャーノとカルミニャーノでは、それぞれ70%と50%しかサンジョヴェーゼを必要としない。

同様に、キャンティ・クラシコDOCGはサンジョヴェーゼ80%でなくちゃいけないんだけど、キャンティはサンジョヴェーゼ70%でいい。

また、キャンティ・クラシコ(より厳格なアペラシオン)は、通常のキャンティよりも長期熟成が求められるんだよ。

注釈: *キャンティはイタリア国内の地理的な地域を指すと同時に、ワインのタイプのひとつでもあるんだ。

ちょっとややこしいよね。今後の日記でこの問題を深く掘り下げることにしよう。*

 

イタリアの醸造家たちの反撃

 

サンジョヴェーゼのイタリアワイン業界を定義する役割は、それだけにとどまらない。

歴史的に、イタリアでは外国産ブドウ(主にフランス産ブドウ)を使ったワイン造りは非常に嫌われていたんだ。

厳しすぎるDOC法によって自分たちの創造性が制限されることにうんざりしたイタリアの醸造家たちは、1970年代に、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランなどの外国産ブドウを使ったイタリアワインを造ることで反撃を始めた。

言い換えれば、スーパータスカンとは一般的に、イタリアの土着品種にこだわらず、高級単一品種またはブレンドワインを造るために国際品種を使用した、トスカーナ産の赤ワインと考えられているんだ。

スーパートスカーナを象徴するワインの多くは、すべてではないけれど、国際品種のブドウで造られているのさ。

注釈2:サンジョヴェーゼは多くのスーパートスカーナで重要な役割を果たしているけれど、スーパートスカーナには必ずサンジョヴェーゼが使われているというわけではないよ。

 

サンジョヴェーゼはどんな味?

じゃあ一体、サンジョヴェーゼってどんな味?と、思う人もいるだろう。

何よりもまず、サンジョヴェーゼはしっかりとしたタンニンを持つ、ミディアムからフルボディのワインを生み出すブドウなんだってことを覚えておいてほしい。

サンジョヴェーゼは、赤ワインに骨格と背骨を与える、まさに主力品種と言えるんだ。

つまりサンジョヴェーゼはイタリアワインにとって、カリフォルニアワインにとってのカベルネ・ソーヴィニヨン、あるいはスペインワインにとってのテンプラニーリョのような存在なのさ。

酸味は中程度で、トマトを使ったイタリア料理と相性バツグンだよ。

一口飲むと、赤いベリー類やチェリー、トマト、イタリアン・ハーブの香りが口いっぱいに広がる。

今回GrapeFoxでは、サンジョヴェーゼをベースにした素晴らしいビオワインをお届けするね。

 

カーサ・コンフォルト・キャンティ・スーペリオーレDOCG 2020

 

まずは、サンジョヴェーゼ発祥の地であるトスカーナに本拠地を置くファットリア・ラ・ヴィアッラのキャンティDOCGをご紹介しよう。

ラ・ヴィアッラのカーサ・コンフォルト・キャンティ・スーペリオーレDOCG 2020は、90%がサンジョヴェーゼで、残りの10%がメルローで造られている。

色は、中程度の濃さのルビーレッドで、華やかなガーネット色が縁を彩るよ。

ラ・ヴィアッラのカスティリオン・フィボッキ・ヴィンヤードで5ヶ月間大樽熟成され、他のラ・ヴィアッラのワイン同様、ビオ・ヴィーガンとオーガニックの認証を受けているんだ。

香りには甘いスパイス、スミレ、小さな赤い果実のフィナーレ、森林の床やバルサミコのノートが感じられる。

心地よい辛口で、カリスマ的なタンニンのためやや渋みを感じるかもしれないね。

時間が経つにつれて瓶の中でまろやかになり、絹のような驚くほど滑らかな舌触りが持続するよ。

このワインは万能選手で、ピザだけでなく、様々な料理と合わせることができるんだ。

とってもフレキシブルなワインだから、ぜひ恐れずに色々な料理に大胆に合わせてみてほしいな。

ローストした赤身の肉だとか、濃厚なパンスープ、熟成したチーズなどを試してみてね。

 

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ファットリア・ラ・ヴィアッラ初のスーパータスカン

 

もう1つ、ファットリア・ラ・ヴィアッラ初のスーパータスカンでもある、オーガニック、ビオ、無濾過ワインのバリッカットもお届けしよう。

このワインはサンジョヴェーゼとカベルネ・ソーヴィニヨンのブレンドで、信じられないほどシルキーな口当たりだよ。

香りにはトーストしたココア、コーヒー、バニラ、シガーボックス、それからほのかに甘い果実味が感じられる。

口に含むと、とっても力強い味わいがあるよ。

口の中いっぱいに風味が広がり、レトロなアロマとタンニンの豊かさが余韻に残る。

このワインは、イノシシやジビエのソースを使ったパッパルデッレ、複雑な肉料理、ジューシーで香り豊かなローストミート(ジビエのローストなど)、レバーパテ、熟成したチーズとよく合うんだ。

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これからは、イタリアといえば美味しいワイン、そして美しいトスカーナ地方の景色と一緒に、サンジョヴェーゼのことも思い浮かべてほしいな。

じゃあ、カンパイ!

 

 

The Song of Jove-a poem

 

Oh mortal! 

 

To the heavens raise thine eyes,

My light shall sever the sheltering sky, 

And harken,  the roaring thunder shall be my sign. 

Lend thy ear, lest a God thou defy!

My figure is the imposing mountain

The towering scepter 

That in the infinite doth hide,

Both earth and firmament, tall and wide.

 

Report to your God so, by and by,  

What doth thou now devise? 

Perchance the proud golden eagle 

Circling the marbled skies? 

Perchance the soaring cloud

Shaped into a bull of a bulged hide? 

 

Mortal:

 

If this you see, then know it is I ! 

Son of Saturn, Sky-God, Father of the Sky, 

Who bore Bacchus,

From his sacred thigh! 

I, the one who chiseled the Teumessian Fox,

And the Pleiades, 

Into constellations upon high!

 

 

Then, oh mortal:

 

Thy God dare not defy!

Lift your cup, and drain the good red wine,

For soon a voice in the soft wind shall pass by, 

But fear this not  or shy, 

It is a consoling whisper and not a vociferous cry:

Hush…Here it comes, harken then, 

a second time: 

 

“Sanguis Jovis from thy cup imbibe, 

Fortunate is the mortal and not the God”,

it shall imply, then it shall add by the by

“For the Blood of Jupiter tasteth sweetest to those

Who reckon their death is forever nigh. "

 

Written by Kichi